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産後の体を整える

産後の女性の体は一時的にではあるものの重傷を負った状態で、体形的に言うと高齢者の体そのものだそうです。

そんな産後の状態で子育てに追われ、忙しさの中で正しいケアを怠ると、およそ50~60年続くその後の人生に大きく影響します。

ひどい人は早くから腰やひざの痛み、肩こりや冷え症などの症状に悩ませられながら、年々悪くなっていく体をだましだまし使っていくことになります。

しかし、逆に言うと産後の女性の体は柔軟性と回復力に富み、この時期を利用すると比較的簡単に、骨格や筋肉を正しく組み直すことが可能です。

正しくケアすることで健康な体、美しい体形を手に入れる大きなチャンスなのです。

産前~産後の女性の体の変化

およそ3000グラムもある赤ちゃんが、お母さんのお腹の中で育ち生まれてくるためには、育つためのスペースや、生まれてくるための通り道を広げなくてはなりません。

そのために、出産3か月前ぐらいから「リラキシン」というホルモンが多く分泌されるようになります。

このホルモンは靭帯をゆるめるホルモンで、骨盤周りをはじめとした関節をゆるめ、可動域を広げます。

しかしその影響は出産後すぐに終わるわけではなく、およそ半年ぐらいかけて徐々に影響が無くなっていき、骨盤は固定化されていきます。

この時、骨盤がズレなく閉じた状態で固定化されていけばよいのですが、産後の骨盤ケアをしないことで、ズレがあり開いた状態で固定化されてしまえば、それに伴い様々な症状を長く抱えることになります。

例えば、赤ちゃんのいるお腹の状態をバケツだとすると、バケツの周りの部分にあたる筋肉を腹直筋や腹斜筋と言います。

また、バケツの底にあたる筋肉を骨盤底筋(群)と言い、この二つは妊娠~出産時の骨盤の広がりに伴い、大きく引き伸ばされ傷ついてしまいます(図1)。

中でも底にあたる骨盤底筋(群)は内臓を支えるハンモックの役目や、骨盤の広がりを抑える役目、膀胱の尿の出口を締める役目など、様々な仕事をしています。

ですから、ここが広がり、締まりのない状態で固定化されていくと、内臓は下垂し、下腹がポッコリ出たり、お尻が台形に締まりなく広がって(垂れ尻)しまったり、いつまでも尿漏れが続いてしまったりしてしまいます(図2)。

その他にも下記のような症状の原因となります。

産後の骨盤ケアをしないと続く症状
腰痛・膝痛・股関節痛・背筋痛・肩こり・冷え症・便秘・内臓下垂・垂れ尻・尿漏れ・むくみ・頭痛・恥骨炎・猫背・O脚・下腹が出る・体形の崩れが戻らない等

どの時期に、どんなケアをすればいいのか

産後のケアの重要性を、少しでも感じていただいたかとは思います。

しかし先にも述べたように、この時期特有の柔軟性と回復力をうまく使えば、これまでの人生で身についた骨格の歪みをただし、健康で魅力的な体型に組み直してスタートする大きなチャンスでもあります。

それには体の仕組みや回復のタイミングをうまく利用し、適切な時期に適切なケアを行うことがとても重要になってきます。

まず、出産直後から6~8週間を産褥期といい、妊娠前の体の状態に戻る期間です。

この時期は基本的にはしっかり体を休める期間ではあります。

よって骨盤の矯正というよりは、体に負担の少ない、優しい運動でリンパと血液の流れを良くし、回復を早めることが重要になります。

そして産褥期を過ぎたあたりから出産半年後までの約4カ月間が、産後骨盤矯正の第一の重要な期間です。この時期のケアの流れは下記(図3)の様になります。

ホルモンバランス的な産後骨盤ケアのチャンスはこの約4か月ですが、これでチャンスがなくなった(心配がなくなった)わけではありません。

次の期間はおよそお子さんを抱っこしている時期までです。

お子さんを抱っこしていると骨盤にかかる負担は大きく増えますし、しかもお子さんはどんどん成長し、大きくなっていきます。

そしてお母さんの体も、それに耐えうる体に作り変えようと変化していきます。

体が変化しようという時期は良くも悪くも、組み直しという変化も受け入れやすくなっています。

ですからこの時期もチャンスでもあり、油断も禁物でもあります。

そして最後が育児から解放される時期、一般的には三歳前後までです。

子育てから少し解放されたと感じるころ、それに伴い体も安定に入ってしまうので、それまでの期間が組み直しにおける最後のチャンスと言えるでしょう。

このように、女性の出産というのは健康の大きなターニングポイントなのです。

この時期を最大限活用した積極的な骨盤ケアで、痛みや苦しみが無くなることはもちろん、健康で魅力的な体を手に入れましょう!